ぶつぶつと、聞こえてくる独り言
目の前にいるクライアントは、君たちが作るピクセル単位の細部など見えていない。そのデザインが自分たちにもたらすゴールを知りたいのだ。それを明確にできないために手段の好き嫌いの話になって振り回される。ゴールが明確に提示共有されていれば、そんな意見はゴールから近いか遠いかで済む話のはずなのだ。
経営は決断の連続であり、だから本質を見るためたゆまぬ努力をしている経営者も多い。デザイナーである君は、そんなクライアントの説得を、営業、ディレクターといった他人に任せている限り、その本質部分に接触することは難しい。プレゼンテーションとは自己満足の押し付けではなく、クライアントの隠された希望を探り当て、その対象を捧げること。サービスすることの本質を考える必要がある。
しかしサービスは無料奉仕ではない。君たちははビジネスの奴隷ではないのだから、見積りは大切な仕事でそれを怠ってはいけない。君はビジネスをしているのであり、提供するものと引き換えに対価を得ようとしているはずだ。それは汚いことではなく、あたりまえのこと、君がインターネットで何かを買おうとするとするときでも、同じように値踏みをしているだろう。
その対価は時間・品質・機能・性能・印象などの総合的な効果をクライアントがどう評価するかにより決まるもので、君には選択する余地があまりない。ただ、どうしても欲しくなるほどの効果が見込めるソリューションや製品を持っていれば、逆の立場に立てるはずで、それがアイデア。それはデザインをする前に見つけ、吟味しておくもの。
情報量が増えても人の時間は限られている。人は5感を駆使して情報を処理する必要があるため、物事や製品のマイクロ化は定めのように思える。だから統一されやすいことを想像して部品をつくる。またその逆に、部品を構成しやすい統合環境をデザインする。一瞬の断面で考えるのではなく文脈経過の想像力が求められる。
最短で目的を達成することができるということは、その行為をしていることにすら気づかなくなること、無意識に行っている行為に意識を向けてみること。するとデザインの成果物が目に見えなくなっていくかもしれず、視覚的な特徴などを失い、行為の習慣に埋没・透明化していく。それが、デザインというものの価値が発揮される、最高の到達点なんだよ。



